用語解説2026.07.31 更新

干支とは — えとと何が違う? 60通りの読み方

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命式表を開いたら、漢字が2文字ずつ組になって並んでいた。自分の「えと」は言えるのに、その字がどこにも見当たらない — この記事は、そのつまずきひとつに答えるためのものです。並んでいる2文字の組を干支(かんし)と呼びます。ふだん口にする「えと」との関係と、なぜ全部で60通りになるのかを、順にほどいていきます。

「えと」と「かんし」

「わたしは戌年です」— そう覚えている方が自分の命式を見ると、戌の字がどこにもない、ということが起こります。あるいは、読みのわからない2文字が4組。甲だの己だの、成績や契約書でしか見た覚えのない字が上の段に並んでいる。こんな覚えはないでしょうか。混乱のもとはひとつで、「えと」と「干支」が同じものを指していないことです。

ふだん「えと」と呼んで、子・丑・寅…と十二の動物を思い浮かべるあの並びは、十二支のほうです。四柱推命でいう干支は、その十二支に十干 — 甲・乙・丙…の10文字 — を組み合わせた2文字1組を指します。上の字が、下の字が。読みは「かんし」です。つまり「えと」は、干支の下半分だけを指す言い方だったわけです。

おもしろいのは、その「えと」という言葉自体の出どころが、じつは十干の側とされることです。十干の読みは、きのえ・きのと、ひのえ・ひのと…と続きます。この「え」と「と」は、陽を兄(え)、陰を弟(と)と見た呼び分けに由来するとされます。兄と弟の「えと」が言葉のもとで、いまは十二支の呼び名として定着した。語の来歴と今の使い方がずれている、それだけのことです。ここが分かれば、字面の混乱はもう起きません。

60通りのしくみ

では、なぜ60なのでしょう。十干は10、十二支は12。素朴に掛け算すれば120通りありそうなものですが、実際に使う干支は甲子(きのえね)から癸亥(みずのとい)までの60通りで打ち止めです。半分に減るのは、組み合わせに決まりがひとつあるからです。

決まりは、陽の干は陽の支と、陰の干は陰の支としか組まないこと。甲・丙・戊・庚・壬が陽の干、乙・丁・己・辛・癸が陰の干。支のほうは子・寅・辰・午・申・戌が陽、丑・卯・巳・未・酉・亥が陰です。ですから甲は子と組めますが、丑とは組みません。並べ方も単純で、十干と十二支の輪を頭から1つずつ同時に送るだけ。甲子・乙丑・丙寅…と進めていけば、陰陽は最後までそろったまま進みます。60通りの全体は、格子に並べると一目でわかります。

子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥甲乙丙丁戊己庚辛壬癸151413121112524232221213353丙午3323144544434242515555453526166564636372717757473828188584849392919959504030201060朱のマス = 丙午(甲子から43番目・2026年の干支)
縦が十干、横が十二支。色のついたマスだけが実在する組み合わせで、陰陽のそろうマスが市松模様に60個並びます。数字は甲子を1とした順番 — 60番目の癸亥の次は、また甲子に戻ります。

1つずつ送っていくと、10と12の最小公倍数にあたる60組目 — 癸亥 — で両方の輪がぴたりと尽き、次はまた甲子に戻ります。60でひと回りというのは、この算数です。生まれた年の干支に戻ってくるのが数え61歳。還暦という言葉が「暦が還る」と書くのは、この一巡のことを指しています。

たとえば

還暦の祝いは、干支が一周して生まれた年の組に戻る節目を祝う習わしとされます。60という数を暗記しなくても、還暦を思い出せば周期はいつでも引き出せます。

この決まりには実用の効き目もあります。たとえば「甲丑」「乙子」といった組は、干支の一覧のどこにも出てきません。ですから、どこかで見た干支を書き写すときも、陰陽が食い違っていればその場で写し間違いに気づけます。60は暗記の対象ではなく、規則から出てくる数なのです。

命式のどこに出るか

ここでもうひとつ、押さえておきたいことがあります。干支が振られているのは年だけではありません。月にも、日にも、時刻にも、同じ60通りが順番に振られていきます。日の干支は今日から明日へ1つずつ送られ、60日でひと回りして戻ってくる。暦そのものが干支で数えられていた、という言い方がいちばん近いでしょう。だから、生まれた日にも生まれた時刻にも、干支がひと組ずつ定まります。命式に2文字組が4つ並ぶのは、この4つの目盛りを写し取った結果です。

干支は、命式の中で一度だけ使われるわけでもありません。同じ物差しが、生まれの記録にも、これから巡る時間にも、そろって使われています。推命ノートの画面で2文字組が出てくる場所を並べます。

四柱しちゅう
生まれた年・月・日・時の干支。あなたの命式そのものです。
大運たいうん
およそ10年ごとに切り替わる干支。運の季節にあたります。
年運ねんうん
その年に巡ってくる干支。1年ぶんの流れを読みます。

三つとも、読む手順は変わりません。2文字を上下に切り、干と支それぞれの気を見て、命式のほかの字とどう噛み合うかを見る。生まれの記録でも巡る時間でも、やることは同じです。物差しが一本なので、命式が読めるようになれば大運表も年運も同じ目で追えます。逆に言えば、2文字の読み方だけ覚えれば、表示面はぜんぶ地続きになります。

ただし、どこに出た干支かで立場は違います。四柱に座る干支は生まれつきの記録で、動きません。大運と年運の干支は外から巡ってきて、命式の字と噛み合ったり揺らしたりしながら通り過ぎていきます。動かない字と、巡る字の二種類がある — この区別さえ持っておけば、大運表を見て「自分の命式が書き換わってしまうのか」と身構えずに済みます。

あなたの日柱は、どの2文字でしょうか。
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読み方の実例 — 丙午

読む手順は三段です。①2文字を上下に切る。②上の干の五行と陰陽、下の支の季節を確かめる。③上下の気が重なるのか、育てる向きか、抑える向きかを見る。この三段だけで、どの干支もひとまず読み始められます。実物でやってみましょう。

2026年の干支は丙午(ひのえうま)です。まず上下に切ります。上の字は丙 — 陽の火で、当サイトは「太陽」のたとえを当てています。下の字は午 — 十二支の真夏にあたる支で、こちらも火の気を持ちます。つまり丙午は、上も下も火という組み合わせです。

次に、重なりを読みます。同じ気が上下でそろう干支は、その気の性質がまっすぐ出やすい組です。火は照らす・広げる・熱を渡す働きですから、丙午は表に出る動き、人前で見せる動きと噛み合いやすい2文字だと読みます。一方で、火が過ぎれば乾きます。広げる速さを少し落とす、休む時間を先に決めておく — 気の重なりには、こうした手当てを一緒に添えて読みます。

上下の噛み合い方は、大きく三通りに整理できます。丙午のように同じ気が重なる組、下の支が上の干を育てる組、下の支が上の干を抑える組です。たとえば甲子なら、下の子は水、上の甲は木 — 水が木を育てる向きで、足元から養われる形になります。庚午なら、下の午は火、上の庚は金 — 火が金を鍛える向きで、熱を受けて形が決まる形です。五行の関係が2文字の中にある、と見ると読みが早くなります。

同じ三段を、ご自分の日柱 — 生まれた日の干支 — でやってみてください。上の字の五行と陰陽を見て、下の字の季節を見て、それが重なる組か、別の気が乗った組かを見る。上下で気が違う組なら、表向きに出る性質と足元で働く性質が別に動くと読みます。ここまで来れば、残りの柱も同じ手順で眺められます。

60通りを覚える必要はありません。持ち帰っていただきたいのは、2文字を上下に切るという一手だけです。切れば、上は十干10種のどれか、下は十二支12種のどれか。それぞれの一覧と読みは関連記事にまとめてありますし、推命ノートの命式画面では、2文字に読みがなとたとえを添えて表示しています。

よくある質問

Q. 戌年生まれですが、命式に戌がありません。

A. 「えと」で覚えている年の動物は、四本の柱のうち年柱の下の字 — 年支だけです。年柱は2文字組なので、上には十干が座ります。また四柱推命の年の区切りは立春なので、1月から2月初めごろに生まれた方は前年の干支になることがあります。当サイトの命式ツールは、節入りの時刻を分単位で計算して表示しています(柱の切り替えは節入りの日を境に判定します)。

Q. 丙午の年について、こわい言い伝えを見ました。

A. 推命ノートは、その種の言い伝えを解釈の根拠に採りません。出どころが民間の風説にとどまり、命式の理屈で裏づけられないためです。丙午は60干支のひとつで、上の干も下の支も火の気を持つ組。火の重なりが出やすい2文字と読み、生まれた方をひとまとめに評する材料には使いません。

Q. 60通り全部覚える必要がありますか?

A. 覚えなくてかまいません。画面にはいつでも2文字が示されますから、その場で上下に切って読めれば十分です。上の字と下の字それぞれの一覧は、十干の記事と十二支の記事にあります。まずはご自分の日柱の2文字を、読みがなごと持ち帰るくらいで足ります。

読み終えたら、自分の命式で。
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